1. 観測の過剰度数
  2.  

    測地観測はふつうパラメーターを決めるのに必要な数よりもより多くの数の観測を実施するように行う。 これをredundant (余分な、過剰な)な観測という。これは平均計算後の網にも影響してきて redundantな観測の数で網の自由度( degree of freedom)か決まる。 網の自由度rは、

    である。ここで、

    観測の数 未知のパラメーター数

    である。これは観測の全体の過剰度 redundancy)でもある。

    r は網全体または観測全体に対してひとつの数字が決まっているが、個々のまたはグループごとの観測がそれぞれ rにどれだけ寄与しているかは分からない。今観測または観測のグループが i 個あるとする。それで個々のまたはグループごとの観測についての rへの寄与の目安として過剰度数 は次の式で計算される。

     

     

    ここには、平均計算のまえにつけた、個々のまたはグループごとの 番目の観測の重みである。 は、平均計算後に決まってくる観測への補正値の共分散行列 cofactor matrix (余因子行列)の対角要素の 番目の数値である。最小2 乗法では平均計算後に決まってくる観測への補正値を残差( residual )という。もとの観測への補正値が分かれば正しい観測値が推定できる。 この際、大きな残差をもつ観測は小さい残差をもつ観測に比べて、より悪い観測であると推定してもよかろうと考えられる。 Trimble社の Trimnet plusのマニュアルには残差は “heart of analytical act” (解析計算の心臓部)と書いてあるが、そのくらい大切な量である。従って は観測のよしあしを教えてくれる目安でもある。 が小さいほどその観測の必要度が高く、大きいほど重要でない観測である。