1.はじめに

GPS測位の出現により測地技術は面目を一新した。それは局所的な三次元測地を容易にするとともに、1000km以上の長距離基線の数mmの誤差の観測も可能にすることから広域的な測地網の確立も可能にしている。

GPS測位の特徴の一つは汎地球的な座標系による位置決定が可能なことであり、時には世界測地系に立脚した絶対座標の精度で±30cmとか5cmという精度の観測が要求される場合も出てくる。

このようなGPS測量も199411日より国際GPSサービス事業(International GPS Service for Geodynamics ,IGS)が本格的に始動されてから、更に容易に高精度のGPS測量が実施できるようになった。このことを理解するためには測地準拠系(Geodetic Reference Frame)の認識が不可欠である。本稿では、この背景について解説する。