最近、測量のいろいろな分野でもカルマンフィルターの応用が頻繁に見られる。というのは、観測が頻繁に行われるようになって、次々と新しいデーターが入ってくる場合の最小二乗平均が必要になることが多いからである。カルマンフィルターはこのようなときの平均に便利な手法である。

観測が繰り返し実施されるとき、ある数学モデルにもとづいて最小2乗平均により未知数を求めることが出来る。この時、番目までの観測を使った解が分かっていて、新しく番目の観測が入ってきたとして、もう一度最小2乗平均により未知数の解を求めてもよいが、それはパラメーターの数が多いときには労力が大変である。且つ、

のごとくという小さな補正をに加えて目的を達するということが考えられる。この小さな補正の計算は、最小2乗平均を繰り返すよりは、計算が簡単である。このような目的に叶う解法の一つがカルマンフィルターである。

以下に紹介するのは、カルマンフィルターの最も簡単な場合の「カルマン・ブーシィ」のフィルターと言われるものである。これは最小2乗平均の教科書によく紹介されているが、ここでは以下の教科書によって紹介する。もっともこの教科書では、以下の方法がカルマン・ブーシィのフィルターであるとは明記されていないが、この方法はカルマン・ブーシィのフィルターを説明したものに他ならない。かつ、著者の判断で、より簡単な場合にひきなおして、紹介してある。

E.M.Mikhail,F.Ackermann;Observation and least Squares,1976,の第13章「系列データの解析」