1.歴史

アメリカの国防局(Department of DefenseDoD)の推進する世界測地準拠系は、1960年以来、四つある。すなわち

WGS-60

WGS-66

WGS-72

WGS-84

である。DMA100にも及ぶ各国の局所水平位置測地原点をWGS84に結合する努力をしてきた。この目的のためにはTRANSIT衛星によるドップラー観測が実施されてきた。もともとのWGS84測地準拠系は、楕円体の幾何パラメーターと物理パラメーターについては測地基準系80Geodetic Reference System80,GRS80)での数値を踏襲しつつ、Cunningham(1987)によってTRANSIT(ドップラー)点の座標が決定されたことによって実現されたものである。この点座標は、直交座標系によるもので、地心一致の地球固定の準拠系である。これは19871月よりDMAの精密暦作成に利用されてきた。注1

 

注1 この最初のWGS84を定義している文献は、

Defense Mapping Agency(1987)Development of Defense World Geodetic System 1984 : DMA TR8350.2,Second Edition, Defense Mapping Agency

がある。

 

DMAの出版物TR9350.2DMA,1991]はWGS84によるいくつかの点の座標を与えている。これで地心一致の地球固定の準拠系が実現できている。

垂直位置原点については、今までのところ統一世界系がない。水準測量が出来ないところでは、WGS84準拠楕円体よりの高さをGPSで決定し、WGS84ジオイドモデルで補正すればよい。こうして海抜標高が求められる。現在のWGS84ジオイドモデルの精度は、2〜6m(1σ)である。