1. はじめに

世界の高さの原点は100以上も存在する。これらは潮位観測で局所的な高さ原点を決めたものである。これと経緯度原点とで測地原点が構成されている。

しかしながら、局地的な限定された期間の潮位観測による平均海水面は必ずしもジオイドと一致しない。米国の1929年国家水準原点(National Geodetic Vertical Datum of 1929NGVD)では、26の検潮所の高さをゼロとして網平均をした。1977年に、国立測測量局(National Geodetic Survey,NGS)は、NGVD29の結果と同じ水準測量データをつかった自由網平均の結果とを比較した。両者の差は、時に50cmにもなり、最大86cmであった。これは平均海水面の高さをゼロとしてはいけないことを示している。もう一つの問題は平均海水面が、必ずしもジオイドと一致せず、時にその差は2mにもなる。(RappおよびBalasubramania1992年の研究)ことである。

スウェーデンSwedenとフィンランドFinlamdのような陸続きの国の高さ原点の比較は、境界に位置している同じ水準点について両者の原点にもとづく正標高を比較して可能である。Sjoberg1991)は、スウェーデンとフィンランドの境界で二つの高さのシステムによる標高を比較して、-19.2cmという結果を得た。Ekman1992)も同じような研究をして-16.2cmを得た。このような方法は、大洋で隔たっている国同士では採用できないことである。問題の解決のためには検潮所の地球中心座標と、精密なジオイド高を出さなくてはならない。