日豊測地情報 No.12                           1998年10月

 

各国の高さ原点基準面の相互比較

 

株式会社 日豊 藤井陽一郎

 

各国の高さ原点は局所的なまた短期間の潮位観測にもとづいて決められた平均海水面に立脚している。高さの基準の平均海水面は必ずしもジオイドと一致している保証はない。長い間この問題を解決する手段がなかったが、今日では最新の重力場モデルと地心準拠枠観測値(例えばGPSによる楕円体高)を用いて、高さ原点の準拠している基準面がどれだけジオイドからずれているか、を論じ得る。この点でもGPSは画期的な技術である。最近、国際的にこの種の研究が盛んとなっているが、この議論は、日本の高さシステムについては、日本列島の水準原点にもとづいた高さシステムとこれとは別の離島の高さシステムの統一の議論にも使える。

 この状況の一端について、主として以下の文献にもとづき、各国の高さ原点の基準面がお互いにどれほど異なっているかを解説する。

 

R.H.Rapp : Separation between reference surface of selected vertical datum,Bull.Geod.,69(1994),26-31.