データ

ここでは 1971 1986 年のドップラー観測の結果を使う。

地心座標系は ITRF90 を使い、地心楕円体は、長半径  、扁平率   のものを使う。

ドップラー観測の結果によって、楕円体の上の楕円体高が出る。

重力場は
JGM-2 を使う。

これは
Rapp,Wang,Davis(1991) によって重力ポテンシャルの球関数の次数位数 360 の場合に拡張された。

これにより重力ジオイドが計算できる。

 

イギリス/ドイツの結果

 

 

イギリス

ドイツ

平均

−87cm

4cm

S.D.

±64cm

±75cm

点の数

29点

28点

1   イギリスとドイツでの楕円体高ジオイドと重力ジオイドの差

 

 この表の意味は、イギリスの場合、 29 点のデータによって高さシステムの誤差が−87cmと求まり、その標準偏差 S.D. が±64cmとなったと言うことである。

 

アメリカの結果

 

 アメリカでは高さシステムは、 National Geodetic Vertical Datum of 1929(NGDV29) North American Vertical Datum of 1988(NAV88) と二つあり、楕円体高ジオイドと重力ジオイドとをそれぞれ算出してみると次の通りである。

 

 

NGVD29

NAVD88

平均

−26cm

−72cm

S.D.

±83cm

±100cm

点の数

321点

321点

表2  アメリカでの楕円体高ジオイドと重力ジオイドの差

 

NGVD29 NAVD88 とは46cm異なる。

驚くべきことは、 NAVD88 基準が使われたときの S.D. の大きいことである。

NGVD29 S.D. ±83cmに対して NAVD88 S.D. ±100cmである。

アメリカ東部だけのデータで比較すると悪くはない。

そうなる理由については目下のところ不明で、さらなる研究が必要である。

 

オーストラリアの結果

 

ドップラー点が分布していて、この点ではオーストラリア高さ原点(AHD)にもとづいた正標高が利用できる。

水準網平均は1971年に30の検潮所で固定してなされた。

 

 

AHD(M)

AHD(T)

平均

−68cm

−98cm

S.D.

±96cm

±66cm

点の数

85点

4点

表3  オーストラリアでの楕円体高ジオイドと重力ジオイドの差

 

Mは本土、Tはタスマニヤでのデータである。

 

以上をまとめて図にすると図1のごとくである。

 

 

図1 各国の高さシステムの基準面のジオイドよりのずれ