日豊測地情報No.15                          1999年5月

 

世界ジオイドEGM96と各国の1cmジオイド

 

                        株式会社 日豊   藤井 陽一郎

 

1.はじめに

GPSの進歩により高さの測定も1〜5cmという精度で決定できる時代となっている。

それで従来の水準測量に代わってまたは補足してGPSを利用しようと言う動向となってきている。

この時に問題となるのは、GPSで求められるのは楕円体高であるのに反し水準測量で得られるのは正標高であるということである。

よく知られているように楕円体高と正標高とはジオイドが分かっていれば相互の変換は容易である。

しかしながら今までは高さ決定の精度に比べジオイドの精度が低く、このような変換は十分な精度では不可能であった。

最近、NIMA/NASAの共同開発で世界ジオイドEGM96が完成し、これをもとに各国固有のデータを加味して1cm精度のジオイドができあがってきた。

1998年3月ハンガリーのブタペストで、「ヨーロッパ大陸のジオイドに関する第2回研究会(Second Continental Workshop on the Geoid in Europe)」という研究会がおこなわれ、今年4月その報告集がフィンランドの測地学研究所の出版物として刊行された。

ここに発表になっているいくつかの論文により最近の1cmジオイドの達成の様子を概観してみる。