地球潮汐の影響を全く考えない場合

a=(6378136.572±0.053)m

b=(6356751.920±0.052)m

ε=(521853.580±0.013)m

永久地球潮汐の影響を考えた場合

a=(6378136.602±0.053)m

b=(6356751.860±0.052)m

ε=(521854.674±0.015)m

3.新しい測地定数採用の考え方

 上の説明で、Somighiliana-Pizzetti水準楕円体とか測地定数とかあるいは地球潮汐の影響を全く考えない地球と永久地球潮汐の影響を考えた地球とかの用語が出てきた。これについてそれぞれ説明しておく。

 水準楕円体

水準楕円体というのは聞き慣れない楕円体であるかも知れないが、今回の精密な地球楕円体の決定で、根本的に今までの楕円体決定とは異なる点なので少し説明する。楕円体を一つの軸まわりに回転させて出来る図形が回転楕円体である。現実の地球にもっとも近い大きさ・形をもっている回転楕円体が地球楕円体である。以上はまったく幾何学的な話しであるが、幾何学的な地球楕円体の表面は実は地球楕円体のまわりの等ポテンシャル面の一つでもある。この点に着目したときの地球楕円体を水準楕円体という。 Somighiliana-Pizzetti水準楕円体というのは、Pizzettiはイタリアの測地学者で、1930年に水準楕円体の重力の式を厳密式として議論したもので、これら両名を記念した命名である。

ストークス定数

地球楕円体とそれが作り出す重力場は四つの定数ですべての性質が決定される。これをストークス定数という。重力とジオイドの基本理論を展開したイギリスの測地学者G.G.ストークスを記念した命名である。この様な定数の組み合わせは{長半径a,偏平率f,地心引力定数GM, 自転角速度Ω}でもよく、また{長半径a,短半径b,GM,Ω}でもよい。ようするに特定の四つの定数は地球楕円体とそれが作り出す重力場を一義的に決定してしまうのである。