非潮汐地球とゼロ潮汐地球

最近注目されているのは地球の形を定義するときに地球潮汐のうちの永久潮汐の項の影響を入れるかどうかである。海洋とおなじく固体地球も月や太陽の引力で一日に二回その形が膨らんだり縮んだりする。固体地球の表面では地心から見たときに、30cmほど上昇したり下降したりする。この様な現象が地球潮汐である。潮汐力を引力の理論から計算してみると、ある天体が子午線からみてどれだけずれているかをあらわす時角をパラメーターとして含む項とそうでない項とに分解できる。時角をパラメーターとして含む項は一日とか半日とか周期的に変わる項である。含まない項は周期的に変化しない項で、これを永久潮汐という。いわば地球と月または太陽の相対位置に関係なくいつもそれらの存在の影響を受けている部分である。長い間地球の形としては地球潮汐の影響を全く考慮しない地球をもって定義してきた。これが非地球潮汐である。これに対して潮汐の永久項の影響を考えて地球を定義しようというのがゼロ潮汐地球である。二つの地球モデルの違いは数cmであるが、地球の長半径決定の精度が数cmとなってきた時代ではどれを採用するか決定しなくてはならない。

今回は がストークス定数の一つとして採用されているのが、特色である。今までは地上の測地又は宇宙測地の成果から地球楕円体の長半径を決めていて、これはストークス定数として採用してきた。しかし長半径は1m以上の精度をきることは難しかった。今回の方法を改めて始めて数センチの精度となったと理解できるのである。精度向上は他のパラメーターの精度向上にもよろうが、ストークス定数の一つとして採用した意義は大きい。 は宇宙の彼方から1グラムの質量を地球楕円体の表面にもってくる仕事の量であるが、これは大変精度よく決まっている数値なのである。

4.測地基準系1980と世界測地系2000との比較

  「測地基準系1980」はストークス定数として

から出発して、他の測地定数、例えば