021.フィンランドの新しい測地網
2000年9月


1.はじめに
 フィンランドの測地事業は1918年創立のフィンランド測地学研究所が実施している。この研究所は、農林業者に属し、地図作成のための測地基準点測量と重力観測が主な事業で、さらにリモートセンシング・ジオインホーマティクスに関する諸研究も行っている。またこの国で利用されるべき基本座標系の確立も重要な研究内容である。1999年末の総所員数は43名である。
 1999年中に、ヨーロッパ基準座標系EUREFの一部としてフィンランド国内の衛星測地に立脚した座標系を確立した。400点の基準点がGPSで新たに測定された。この仕事は1995年に12のGPS永久点を設けたのが始まりであった。これで近日中にEUREF系に移行できる。研究所は、2000年3月に、農林業者にたいして、フィンランドではEUREF座標系とそのUTM投影とが利用されるべきである、ことを提言した。
2.新しい測地網設定の経過
 最近20年間に、観測技術と計算技術が著しく進歩したが、その中核となるのは、人工衛星の利用と重力測定の精密化である。
 フィンランド測地学研究所のつくった19のEUREF点は1999年6月5日にプラハで開催されたEUREFの委員会で正式のEUREFと設定された。これは12のフィンランド測地基準点、検潮所付近の5つのGPS観測点、2つの三角点からなるものである。
 フィンランド測地基準点が測地点の高密度化に利用された。2000年の始めに100点の網平均が完了した。この新しい測地網は衛星測地の新座標系に結合されている。さらに350点の高密度化が図られている。これらにもとずいて一般測量と地図がつくられるわけである。これらの最終結果は2000年中に刊行される。同時にWebsite上でも公表される。これでフィンランド全領土でEUREFが利用できるようになる。
3.新測地網の管理
 現新座標系の作業委員会はフィンランド測地学研究所の重力部門のカリヤンネン教授が議長で、フィンランド地質研究所・フィンランド航空局・土地測量局・航路局・海洋研究所・鉄道局・地方自治体連合・環境研究所・ヘルシンキ工科大学・道路局・陸軍地形隊、などを含む。
 12の永久点では2周波受信機が設置されていて、気象観測設備も持っている。GPSと気象の両方とも受信機のメモリーに入れられ、24時間に1回モデムで研究所にダウンロードされている。
将来の繰り返し測量で水平と垂直の地殻変動が監視できる。もちろんフィンランド特有の氷河期後の隆起の監視もできる。旧三角点が破壊されてしまわないように、1等三角点の測量と検査が実行されている
4.計算手順のまとめ