024.次世代GNNSとしてのヨーロッパの
Galileo計画について
2001年1月


1.はじめに
 ヨーロッパでは新しい汎地球的衛星測位システム(GNNS)としてGalileo計画が進められている。これは今までのヨーロッパのEGNOSを発展させ、GPSとも共存をはかる完全に民生用の汎地球的な衛星測位システムである。この計画の概要を下記の文献にもとずき、紹介する。

J.Wolfrum,M.Healy,J.P.Provenzano,T.Sassororossi;Galileo-Europeユs contribution to the next generation of GNSS,ION GPS-99,1999,1381-1390
R.Lucas,D.Ludwig;Galileo:System requirements and architectures,ION GPS-99,1999,2097-2101
2.Galileo計画の決定経過
 1999年2月、ヨーロッパ連合(EU)の運輸関係会議は、ヨーロッパの主導する汎地球的衛星測位システムであるGalileo計画実現に向けての戦略を決定した。同時に、ヨーロッパ宇宙開発庁(ESA)の構成国はGalileo衛星計画を承認した。最初の衛星は2003年までに打ち上げられて、軌道調整は約2年つづけられ、Galileは遅くとも2008年までには完全に作動するようになるはずである。Galileo計画の定義と展開はヨーロッパ委員会(EC)とヨーロッパ宇宙開発庁によって支援されている。
 ヨーロッパ宇宙開発庁(ESA)との契約により、四つの主な宇宙開発会社が将来の汎地球的衛星測位システム(GNNS)へのヨーロッパの貢献のために、技術的、資金的、実効的な側面を担当している。これらの企業はAlcatel宇宙産業(ASPI)、Alenia Aerospazio(ALS)、Daimuler Cgrysler Aerospaceユs Dornier 衛星システム(DSS)、Matra Marconi Space(MMS)などであり、これに15の副契約社が加わっている。いわゆる戦略的産業友人として米国、ロシア、日本が研究グループを補充している。
 次世代GNNSへのヨーロッパの試みはGPSIIFとGalileoといわれるこの計画の複合の完全に公開のシステム構築に根ざすものである。
3.システムへの要件
 技術的な基礎構築のためにまずESAは利用者のシステムへの要件を確定した。集約された要望としては、まず空中・地上及び水域での多面的な運輸に由来するものがある。同時に測地や農業、通信、時の同期、レジャーその他などが係わっている。果たさなくてはならない役割は次のごとく要約できる。
◎汎世界的な測位と報時のサービスとして全世界をカバーすること、このために衛星の高さは20,000kmとする
◎位置決定に役立つことは勿論通信の役割もはたす
◎多くのマーケットに完全に公開であること、応用の際に利用度が高く安全性も十分であること
◎このシステムの運用は将来のGPSIIFと似ていることとなる
◎GPSとも相互の乗り入れが可能となるようにする

Galileoの役割と推進計画


4.技術的構成
 今までのMEO(移動衛星)とGEO(静止衛星)の技術を使う。今までのEGNOSはGalileoに吸収される。24〜30の衛星を使う。

MEO衛星のみの場合
衛星の数は30 三つの軌道 高度23,200km 傾斜角54度

MEO+GEO衛星の場合
MEO衛星 24個
重量81kg 消費電力650W Reliability0.8@10年 高度24,126km
傾斜角52.5度
GEO衛星 9個
重量85kg 消費電力855W Reliability0.8@10年 搬送波 4周波数

スケジュール
システムの定義の時期1999年10月〜2000年12月
展開の時期2000年1月〜2001年12月
実現の時期2002年1月〜2004年12月
まず3つのEMOを掲げる。2003年の終わりにGalileo衛星が上がる。
実用の時期 2005年1月〜2007年12月
衛星の寿命は10年 その都度衛星を修復していく。
5.まとめ
 ヨーロッパの宇宙航法インフラ整備であるGalileoは汎地球的に航法信号を送り出す。必要な衛星はまずMEO衛星として軌道に乗せられ、次にGEO衛星に置き換えられる。MEO衛星のほうが地上施設が簡単であり、複雑でない。GalileoはGPSやGLONASSに比べ、もっと多くのサービスを提供する。システムのintegrityの情報提供がとくに将来の目標である。
 衛星は24〜30からなる。すべての衛星は航法サービスの他に通信の用にも役立つ。公的と私的と両方からの資本様式はサービスの推進力である。