1. はじめに
  2.  

    測地測量はふつう網をつくるように実施される。そして最小2乗平均を行うことでパラメーターの数値を確定したり、その誤差を推定したり、また網平均全体の精度を評価したりできる。網平均を行うことで測地計算は初めて完了する。

    Trimnet plus Trimble社網平均プログラムTrimnetの改良版のソフトである。基本的な計算は2種類ある。ひとつは、minimally constrained adjustment(最小拘束平均)であり、もう一つはfully constrained adjustment(完全拘束平均)である。前者は最初に実施し、観測の精度や網全体の精度をみるのに適している。後者は、必要に応じていくつかの固定点をもうけた平均で、網の位置を確定するのに適している。

    平均された網について大切なことはその信頼度である。信頼度を確保するには観測の精度をよく吟味してよい観測を選び、これについて網平均する必要がある。Trimnet plusは観測の吟味とその後の処理について最近の研究成果が取り入れられている。観測の吟味についてはオランダの測地学者のBaardaが始めたdata snooping(データ検査)とよばれる手法がある。これにより観測のよしあしが分かったら、悪い観測は捨て、またはもう一度所定のweighting strategy(重みづけ指針)によって、よい観測には高い重みを悪い観測には低い重みをつけるというように重みをつけ直し、もう一度網平均する。こうして安定した解が得られるまで平均計算を繰り返すのである。