日豊測地情報NO.11

1998年9月

高さ原点の国際的統一

株式会社 日豊 藤井陽一郎

今日ではITRFWGS-84のような国際測地系が確立しているので、各国測地系のこれらへの対応が確定すれば、各国の測地系は国際統一ができている事になる。経緯度についてはその通りである。ところが、各国の高さの原点は、多くの場合いずれかの局地的な観測で決めた平均海水面に依拠しているので、まだ国際的な統一ができていない。WGS-84に依拠すれば高さ原点の楕円体高は安易に確定できるから国際統一もできる訳であるが、高さはあくまでジオイドに依拠するのが妥当なので、高い精度のジオイドが完成しない限り、国際統一は難しい。したがって高さのシステムの国際統一は現代の測地学の重要な課題の一つになっている。具体的には各国水準原点がジオイドとしているそのジオイドと、正しいジオイドからのズレを見出すことである。既存の重力ジオイドとGPSの水準測量によるジオイドを比較し、後者に潜む定誤差を推定するのは、一つの方法である。この状況の一端に付いて、主として以下の文献にもとづき解説する。

M.Pan,L.E.SjobergUnification of vertical datums and gravimetric geoid models with application to Fennoscandia,Journal of Geodesy,1998,64-70