日豊測地情報 No,13                       1999年1月

 

広域GPS網の設定と地球潮汐

 

                          株式会社 日豊 藤井 陽一郎

 

  1. はじめに
  2. 今日、広域のGPS網を設定しなくてはならない場合も増加していて、これにあわせて、いろいろなGPSの問題を検討しなくてはならない。

    国際民間航空機関(ICAO)の将来航空保安システム(FANS)構想をうけ、

    米国のGPSやロシヤのGLONASSなどを利用する全地球的航法衛星(GNSSGlobal Navigation Satellite System)を航法装置として利用する研究が推進されている。

    現在のGPSGLONASSを航法装置として使う場合、単独測位では空港への航空機の進入や滑走路への着陸に要求される精度を満足されないことがある、などの問題がある。

    こういう問題の解決のために、静止衛星型航法衛星補強システム(SBAASatellite Based Augmentation System)や地上型航法衛星補強システム(GBASGround Based Augmentation System)がある。

    現在、SBASとしては米国のWAASWide Area Augmentation System)や欧州連合のEGNOSEuropean Geostationary Navigation Overlay Service)があり、

    日本では、運輸多目的衛星(Multi-functional Transport SatelliteMSTAT)の打ち上げとこれを利用して

    GPSを補強するMSASMSTAT Satellite-based Augmentation System)が構想され推進されている。

    新設の施設としては、札幌、東京、福岡、那覇に監視局が置かれ、MSASGPSアンテナが設置されるが、その座標は精密に決定されるとともに、追跡される。

    神戸市、常陸太田市には航空衛星地球局(GES)が設けられる。

    さらにMSTATの追跡管制ステーションとして、米国ハワイと豪州に評定局が設けられる。

    これらの位置決定に際しては1/1000秒の精度が要求されている。

    なお、国内の空港にはGPSの連続観測を行うGPS電子基準局が最終的には80ヵ所設置される予定である。

    これらを通じてGPSの役割は大きいが、それだけに研究しなくてはならない課題が多々あるわけである。