2.WGS(G730)への更新
1993年ないしは1994年にもっと高精度の準拠系への要求が高まった。1993年にDMAはWGS84の改良にとりかかった。
WGS84を定義するパラメーターは四つである。すなわち
●回転楕円体の長半径
●地球重力ポテンシャルの2次帯球関数係数
●地球の平均自転角速度
●万有引力定数と地球全質量との積
注3 は地球楕円体の扁平率
に対応するものである。この四つのパラメーターをストークス定数と言うことがある。幾何定数
、
と物理定数
、
を含み、正規重力式も一義的に導ける。
測地基本パラメーターについては地球自転観測事業(International Earth Rotation Service,IERS)の定めた数値[IERS,IERS Standard,1992]を検討した。その結果、だけを変更すればよいことが分かった。IERS地球標準モデル1992[IERS Standard 1992]のこの数値は
(地球大気質量を含む)
である。因みにGRS80と一致している旧WGS84ではこの値は
(地球大気質量を含む)
であった。この僅かな違いが軌道の改善に重要であった。
新しいWGS84をWGS84(G730)という。Gがついているのは、GPSの観測が改良に大きな役割を果たしたことを表し、730はGPS week730から利用されだしたことを示す。これは1994年1月2日である。すなわちこの時以来WGS84(G730)が使われていることになる。